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    2023.03.17
    Kのこんなデザイン見つけた!|ワークショップ編

    街は無名な意匠であふれている

    唐突ですが古い商店に掲げられた看板文字に惹かれませんか?

    何かの用事で出向いた先に商店街を見つけたとします。
    そうなると本来の用件そっちのけで、物件を見逃すまいと全方位へとロックオンしてしまう、これはもう重度の症状を発症することに。
    趣のあるもの、異彩を放つ癖の強いもの、文字の作りが簡略されていて難読なもの、大量生産されて平滑化した意匠が氾濫する現代において、オートクチュールのような唯一無二のその存在感に惹きつけられる事を誰が責められようか(誰も責めない
    そして、それらは恐らく無名な人々による手仕事なのだと思い至ると、胸も熱くなるというものです。

    もう昨年11月の話となりますが、やっとかめ文化祭にて「レトロな看板の文字をみつけよう!書いてみよう!のらもじ in 円頓寺」というワークショップがあったので、我が意を得たり!と参加してきました。
    今回はその時の振り返りブログとなります。

     

    看板文字について、わしも考えた

    当日はお天気に恵まれ、看板文字ハントには絶好な日和となりました。
    会場は円頓寺商店街の近くにあるなごのキャンパス。初めて赴く場所でしたが、かつての小学校をリノベーションした施設でした。

    今にも子ども達がそこかしこから顔を出してきそうな様子。

    ワークショップ講師はのらもじ発見プロジェクト主催の下浜さん。
    最初に概要について座学を受けた後に、参加者全員で円頓寺商店街へと散策に繰り出し、看板文字ハントを決行。
    普段の単独行動では気が向くままに歩き回ってのハントですが、この日は集団行動。
    講師の下浜さんが予め下見されたルートに沿って商店街を歩き、要所々々で立ち止まっては看板文字のつくりに対しての見どころ解説があったり、店主さんが看板に使われたロゴタイプを制作依頼した当時の話をしてくださったりと、単独行動では収集出来ないような逸話も聞くことが出来て、もうハントだけですでにお腹いっぱい。
    最初は戸惑いがちだった参加者たちも、われ要領を得たりと能動的に看板文字を楽しげにハントし始め、場の雰囲気が良い感じに暖まり始めたのが伝わってきて心地いい。ああいう時の包まれるような一体感が堪りません。

    様々な看板文字が収集されました。一見ただの壁面にみえても、よく見るとかつてあったであろう看板の痕跡を発見、なんてことも。

     

    無いものを想像して創造するって難しい

    ハントで文字の収集も終え、次はいよいよ実践タイムとなります。

    ここで講師の下浜さんが主催しているのらもじ発見プロジェクトについての簡単な説明を。
    「のらもじ」とは看板屋によって書かれた屋号のデザイン自体を指し、ほぼ無名であった彼らのセンスに対して敬意を表し、のらもじと呼称されているようです。
    採集した看板の数文字を基に、文字のつくりを分析し、体積を何十倍にも膨らませて、平仮名もしくはカタカナとして50音分を作成して、あまつさえ配布用にフォント化までやってのけるというアートプロジェクト。

    今回のワークショップもそのプロジェクトになぞらえて、のらもじを基にして最大4文字をデザインしてみようという内容なのですが、つまり看板には「めかぶ」としか書かれていないのに、基デザインから推測し「ししゃも」へと文字を創作するわけです。これは中々にハードルが高い。
    専用の用紙が参加者へと配られ、各々が取り組んで行きます。

    私が選んだのはインテリアショップのクマザワさん

    じっくりと分析し、用紙へ思い思いのカタチ(私は自分の名前を)で定着させていきますが、一発で決まるものではありませんから、何度も消しては書いてが繰り返されていきます。
    私は仕事に限らず趣味の範疇でも、こういった手作業を昔からやってきているので、まだ何とか自走できますが、皆が皆そういう事に携わってきた経歴があるという訳ではないので苦戦している様子が空気から伝わってきましたが、そういう方には講師の下浜さんからの神アドバイスが的確に入っているのが聞こえてきました。
    ちなみに下浜さんの本業はバリバリのグラフィックデザイナーですので同業者。ゆえに匂ったのでしょうね。直ぐに同業者と見抜かれました汗
    書き終えた文字は係員である、やっとかめ大使の方が縮小コピーしてくださり、缶バッチにして完成となります。

    作成した文字。それを基にして作った缶バッジ。

    ワークショップは全体で4時間と、これまで参加したやっとかめ文化祭のプログラムの中でも最長の類となりましたが、散策して手を動かしてと、久しぶりに自身の知覚を最大限に研ぎ澄ましたことから達成感と満足感が得られ、終わる頃には心地よい疲れに包まれていました。
    今年も何のプログラムが用意されるのかと10月の到来が楽しみです。

    帰り際に参加者全員へ配られたお土産のシール

     

    公式によるレポートはこちら
    やっとかめ大使レポート

     

    〈writing:兼松〉

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